小林製薬 川西研究員(医学博士)が解説します。

シイタケ菌糸体に着目

 臨床研究の当初は、アガリクスや霊芝などを使い、免疫が低下した患者さんや健常者さんが食品成分を摂取したときに免疫の働きがどう変化するかについて、研究を重ねてきました。その中で、免疫が低下している人が食品成分を摂取しても、全ての方で免疫が同様にあがるわけではないことが分かってきました。

 そんなとき、一度は免疫が上がるのに、それがなかなか維持しない方がいることに気づきました。そこで、免疫が低下した方の体内では、免疫が働きにくい環境ができていて、単純に免疫を活性化するだけでは、その作用が持続しないのではないか?と考えるようになりました。

 一方で、様々な食品成分を摂取された方の中でも、シイタケ菌糸体を摂取された方で、向上した免疫力が維持されているケースがあることを発見しました。

 そこで、シイタケ菌糸体を摂取された方で、血液中にある免疫を抑制する物質の値を測定してみたのです。

 そうすると、シイタケ菌糸体を摂取された方では、免疫を抑制する物質が少なくなっているデータが得られたのです。

免疫力の要は「免疫抑制の克服」

 私たちが免疫抑制に関する研究を進めていく中で、免疫がうまく働かず抑制状態(免疫抑制)に陥る主な原因として、体内で「免疫抑制細胞」という細胞が異常に増加していることが判ってきたのです。

 実は、健康な人の体内では、免疫細胞が過剰に働いて炎症やアレルギーなどが起こらないように、免疫抑制細胞が適度に働いてブレーキの役割を果たしています。

 そして、病気の種類によっては、この免疫抑制細胞を悪用して、免疫の攻撃を逃れていることがわかってきたのです。

 そこで、私たちは2010年頃から、シイタケ菌糸体の「免疫抑制細胞」に対する作用について大学医学部と一緒に研究を進めました。

 その結果、確かに一部の疾患によっては、免疫抑制細胞が異常に増加し、シイタケ菌糸体を摂取するとこの異常増殖が抑えられて、免疫が良い状態に回復するというデータが得られたのです。

 また2011年に、免疫抑制解除のメカニズムをもつ医薬品(免疫チェックポイント阻害剤)が米国で承認されました。この免疫チェックポイント阻害剤などが高く評価され、世界が認める権威ある科学雑誌『サイエンス』において、「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー」のトップに選ばれるなど、世界的に注目が集まっています。

免疫抑制を克服することの大切さを広めたい

 今後も免疫の分野で臨床研究を積極的に進めるとともに、その研究成果を発信し、少しでも免疫に不安を抱えている方と、ご家族の一助になればと願っております。

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